Crystal Wing

― vol.1 ―




「アスラン……ひとつ、訊いてもイイ?」
「? 構わないが…?」

 突然、思いつめた真剣な表情で真っ直ぐに…親友であるキラに見つめられ、アスランは戸惑いを隠せず、訝しげに彼を見返した。

 此処はAA(アークエンジェル)のMS(モビルスーツ)格納庫。

 大きな戦争は…プラントと地球軍、そしてオーブを巻き込んだ大戦は、デュランダル議長の死によって一応の終止符が打たれた。
 しかし、争い自体が無くなった訳では無い。
 プラントにはラクス、オーブにはカガリと、頼れる指導者がおり、それを支える人材も防衛力も整っていて、国内は安定し和平の道を確実に歩んでいる。

 しかし、地球軍は違った。
 地球軍は元々、大小様々な国の集合体であり、プラントと戦うという目的の為だけに組織されたものだ。大きな敵(目標)があるうちは、それを…コーディネーターを滅ぼそうと纏まり組織として機能する。
 だが、その大儀名目を失くした今、完全に崩壊状態だった。

 そして、それが……新たな火種となった。

 先の大戦の影響で…プラント或いは地球軍から攻撃され、軍事力を奪われた国々や、国の中心となっていた人物を亡くし国政が崩壊寸前となってしまった国々は、オーブやプラントに助けを求めた。
 そうしなければ、他国の侵略にあうからだ。
 事実、この戦後の混乱に乗じて、自国の思惑だけで動き出している国は少なくは無い。

 それだけではない。
 国が混乱すれば、反乱分子の輩達はここぞとばかりに活動を激化させる。
 そして、弱いものばかりが犠牲となる。

 オーブの理念は『他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の戦いに介入しない』だ。
 それは、現プラントでも基本理念となっている(ラクスが定めた)。

 しかし…助けを求める手を放っておくことは出来なかった。
 自分達が見放せば、多くの死者が…罪無き者達が殺されると分かっていながら、放置することは、ラクスにもカガリにも出来なかった。

 議論した上、プラントとオーブは、助けを求めてきた国と平和条約を結び、友好国として、一定期間…その国の防衛力や政府がある程度立ち直るまでの間、力を貸すこととなった。
 つまり……プラントとオーブの軍事力でそれらの国も守り、それらの国に刃を向けるものは自国の敵として戦う、ということ。

 そんな取り決めを快く思わない連中は少なくは無く、プラントとオーブはそんな輩達の格好の標的となってしまったのだ。
 その上、地球軍信者(残党)達の報復も、後を絶たず……キラやアスラン達はその度に戦場に立たねばならなかった。

 だから、MSの整備には手を抜くことは出来ず、こうしてAAの格納庫にてそれぞれに作業していたのだが……
 作業が一段落したトコロで、驚異的なスピードで今日の分の作業を終わらせたキラが、二人分のコーヒーを手に「休憩しない?」とアスランを訪ねて来たのだ。

 キラがアスランの元を訪れるコトは、珍しくは無い。
 大概キラの方が早く作業が終わるから、そうすると余程の事情…その後の予定が無い限り、キラはアスランの元に来て、作業を手伝ったり、新しい(開発中の)プログラムについて話し合ったりしている。

 だが……今日のキラは、明らかに何時もと様子が違っていた。

「キラ、何かあったのか?」

 格納庫の端…通路の手摺に背中を預け、アスランは受け取ったコーヒーに口をつけた後、訝しげに訊ねる。

「…そうじゃないよ」

 キラは短くそう答えると、アスランの横に並び、手摺に肘を付く。

「プラントで何かあったワケじゃないんだな?」
「何かって?」
「あ…いや…。キラはオーブとプラントを行き来しているから、さ…」

 アスランは極力濁した言い方をし、苦笑する。

 最高のコーディネーターであるキラ。
 彼の操るストライクフリーダムはどんな武器よりも…『脅威』だった。
 どの国も彼を欲し、どの国も彼が『敵』となるのを恐れた。
 だからこそ、キラは大戦後、ラクスの居るプラントとこのオーブを行き来する生活を送っている。
 そうする事で……彼が何処にも属さない事で、プラントとオーブだけではなく、地球上の各国との均衡が辛うじて保たれていた。

「何か、あったら……アスラン、君の耳にだって直ぐに届くでしょ?」

 アスランにつられるように、キラも苦笑した。

 プラントに異変があれば、カガリの一番傍に居て、今やオーブの政治にも深く関わっているアスランが気付かない筈が無い。

「いや…、実際に内側(なか)に居ないと分からないことは多いよ。それに……外から分かる状態になってからでは、遅過ぎることもある」
「確かに、ね。でも、本当に何も無いよ」
「本当か?」
「本当。大体、プラントに何かあったのなら、今、ラクスが此処に…お忍びで来ているなんてコトも無いと思うけど?」
「いや…極秘裏に来なければならない事情があった、とも考えられる」
「アスランって…相変わらず心配性だね〜。そんなに深刻に心配ばかりしていると、……ハゲるよ?♪」
「余計なお世話だっ」

 むっとするアスランに、キラは屈託の無い…歳相応の笑顔を浮かべる。

 昨夜、ストライクフリーダムでオーブに戻って来たキラ。
 そのコックピットには、キラの他にもう一人の姿があった。プラントの最高評議会の議員であり、次期議長であるラクス。
 最高評議会は彼女にすぐさま議長の座について欲しかったのだが、ラクス自身が「プラントを長く離れていた私が、直ぐに議長となるのは相応しくありません」「直ぐに議長の座に就けば、その地位が欲しいが為にデュランダルを撃ったと誤解されるでしょう」との理由で断ったのだ。
 だから、ラクスの肩書きは最高評議会議員。けれど、今のプラントはラクスの言葉で動いていると言って過言ではない。

 そんな彼女が、突然…何の予告も無くオーブを訪れたのだ。
 アスランが何かあったのかと勘繰るのも無理は無い。

「ラクスがカガリに逢いたがっててさ。だから…連れて来たんだ」
「プラントで大騒ぎになってたりはしないだろうな?」
「大丈夫。イザークとディアッカには話してきたから」
「…………。イザークに止められなかったのか?」
「止められなかったよ。逆に「ぐずぐずするなっ 誰かに見られたらどうするっっ!?」って言われた」
「そうか……」

 イザークの口調を真似るキラ……その時の様子が容易く想像できて、アスランはやれやれと髪を掻き混ぜる。

 イザークのあの『負けず嫌い』の矛先に、何故かキラは入らないらしい。そればかりか、何かとキラの世話を焼いてやっているようだった。
 キラの普段のぽや〜〜〜〜っとしたトコロが、彼の闘争本能を鎮火させるのだろうか…。

「キラ、お前……プラントではうまくやっているのか?」
「うん。まぁね…」
「辛く、ないのか?」

 ラクスの婚約者でありながら、プラントに属することも許されず、
 カガリの弟でありながら、オーブに定住することも許されない。
 それなのに……どちらの政府も彼の力を必要とする。

 明らかに政治の犠牲となっているキラが、アスランは心配でならなかった。
 しかし、キラは、にこっと笑んで、首を横に振る。

「辛くないよ。僕は今の生活、結構気に入っているんだ。プラントでラクスや、イザークやディアッカ達と過ごすのも楽しいし、オーブでカガリや君やマリューさんや…皆と過ごすのも楽しいから」
「だが、楽しいだけじゃないだろう?」
「それは……誰も同じ、なんじゃない? 楽しい事ばかり続くなんて有り得ないし…。それに……僕のような存在は…何にも属さず、全ての外側に居る存在は、今のこの世界には必要なんだと思う」

 キラのまるで自分に言い聞かせるような静かな声音と表情に、アスランは彼の強い決意を改めて感じる。
 そして自分自身に言い聞かせ、再度誓う。

 自分達は戦わなくてはならない。
 自分達が望む未来の為に…
 大切な者達を護る為に…――。

「何にも属さず、全ての外側に居る存在、か……。確かに全てを客観的に捉え、正しく判断できれば良いが……」
「それが出来るのは神様だけだよ。僕には到底無理」
「だろうな」

 最高のコーディネーターであり、最強の力を持つキラだって、所詮は人間だ。
 時には私情に駆られ、己に有意義な…間違った道を選んでしまうコトだってあるだろう。
 それが……当たり前なのだ。

「僕達は只の人間なんだから、『間違ったと気付いたら、間違った場所まで引き返す』、それしかないんじゃない?」
「簡単に言うな。大概、間違ったと気付いた時には、引き返せなくなっている事が多いんだ」
「分かってるよ。だから……僕達は今こうして…それぞれ違った立場で居るんだろ?」

 一方向からじゃ見えないものが沢山有ることを知ったから…
 皆で同じ場所に居るのではなく、それぞれ別の場所に…異なる立場に居る事にした。
 でも……思いはひとつであり、皆が大切な仲間だ。

「そうだな……。俺がまた道を誤った時には、止めてくれよ、キラ」
「良いけど……アスランは強情だから、止めるの大変なんだよねぇ〜」
「お前だって強情だろっ」
「まぁね。だから、僕が間違った時は、ちゃんとしっかり止めてよ、アスラン」
「お前を止めるのは命懸けだな…」
「あっ 自爆はダメだよ! カガリが泣くからね!!」
「…………。」

 びしっと痛いトコロを衝かれ、アスランは口篭る。

 ついこの間もカガリに、「お前、自爆癖絶対に直せよっ じゃないと、ジャスティスの自爆機能取り外すからなっっ!」と怒鳴られたばかりだ。

 カガリを泣かせたくは無い。
 彼女の笑顔を守る為に、自分はオーブに…彼女の傍に留まったのだから…。

 だが、此処で「分かった」と答えるのは…それを口に出して認めるのは照れ臭く、アスランはワザとらしい咳払いをすると、強引に話を変える。

「キラ。俺に訊きたいことって何だ?」
「………アスラン、逃げたね」
「人聞きの悪い事を言うなっ 俺は…残りの作業に早く取り掛かりたいだけだ」

 ジト目でキラに睨まれ、アスランは慌てて否定する。
 逃げたのは間違いないが、残りの作業を早く片付けたいのも本当なので、嘘は言ってない。(……たぶん)

「それじゃ……訊くけど…。ちゃんと正直に答えてくれるよね?」
「真面目な話、なんだよな?」
「もちろん」
「それじゃ、ちゃんと答えるよ」

 話題が無事に転化されたことに内心ほっとし、アスランはカップに残った少しぬるくなったコーヒーを一気に飲み干す。

「アスランさ………カガリとはどこまでいってるの?」
「っっっっ○△☆■※★!?」

 真面目な表情(かお)でとんでもない事を訊くキラに、アスランは危うく口に入れたコーヒーを吹きそうになる。
 間一髪のところで噴出すのは避けられたものの、無理に喉へと流し込んだ為、気管に入り、激しく咽た。

「なっ キ、キキキ、キラっっ お前、何…っっ」
「正直に答えてよ、アスラン」
「しょ、正直にって…………。そりゃ…、カガリとはプラントにも一緒に行ったし、地球の各国にも、月にも一緒に行ったが…」
「……そうじゃないよ」
「あ……公務以外で、か? それなら、この間はじめて出逢った無人島に……」
「あ〜〜〜す〜〜〜ら〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜」

 地を這うようなキラの低い声と、異様な殺気に、アスランはぴたっと停止する。
 普段おっとりしているこの親友(キラ)を、本気で怒らせたら頗る恐ろしいことを、アスランは身をもって知っていた。

「アスラン、それ……本気で答えるの? それとも、僕をからかってる?」
「からかっているのは、キラ、お前の方だろっ」
「僕は至極真面目だよ。本気で心配しているんじゃないか」
「心配って……何の、だよ?」
「アスランとカガリを、だよ」
「お前に心配されるような事は、何もしてない」
「何もしてないから心配なんじゃないか……」

 キラは大袈裟に、はあぁぁぁっと溜息を吐く。

 戦争が終わって、もう直ぐ半年になる。
 戦争が終結したばかりの頃は、誰もがとても忙しくて、自分自身のことを考えたり、己の想いを優先させたりすることは難しかったけれど……
 今は……それなりに自分の時間を持つことも出来るようになったし、気持ちにゆとりも出てきた。

 なのに……
 アスランの立場は、カガリの補佐役。
 カガリの指輪も外されたまま、だ。

 どこをどう見ても、二人の仲が進展しているようには思えなかった。

「そ、そういうコトは……ちゃんとしてから、だろっ」
「ヤキン・ドゥーエ戦役の時に、速攻で…カガリの気持ち、ちゃんと確かめないウチにキスしていたよね?」
「う゛……」
「……それから進展してない、とか言わないよね?」
「い、いや……それは……」
「もしかして……戦時中、ザフトに復隊してから、キスすらしてない、とか?」
「そんなコトはないっ キスはしてるさっ」
「頬とかおでこにだけ、なんて言ったら……殴るよ?」
「………。」

 明らかに『本気』の…フリーダムを操っている時のような鬼気迫る迫力のキラに、アスランは観念し、ほお〜〜っと痞えていた息を吐き出す。

「焦りたくないんだ。あの時、僕は焦って……彼女を傷付けたから」

 カガリと別れ、プラントの様子を探る為に宇宙(そら)へと上がり、オーブに帰れなくなったのを口実にザフトに戻った。
 そして、再び彼女と出逢ったのは、戦場だった。
 しかも………敵として。

 彼女が守ろうとしたものを…
 彼女自身を、この手で傷付けた。

 プラントになんか上がらず、ずっとオーブに…カガリの傍に居てあげれば良かったのだ。
 傍に居なければ守れない、と…分かっていたのに。

 あの時、そう出来なかったのは……自分が焦っていたから、だ。
 オーブ代表首長という立場の彼女と、同等でありたかった。
 彼女に相応しい、あの婚約者に負けない地位と力が欲しかった。

 あんな思いをするのは二度と御免だった。
 だから、もう焦らないと固く誓った。

「君の気持ちは、分かるけど……。でも、焦らないのと、何もしない、は…違うよ」

 自分達が危惧していた通りだと知り、キラは微苦笑する。
 こういうコト(恋愛)に関しては、彼は疎くて、不器用で、臆病、だ。

 そんな彼の背中を押すのは、彼女(ラクス)が言う通り、幼馴染みであり親友である『自分』の役目なのだろう…。

「ねぇ、アスラン。カガリがまだ20歳の女の子だってコト、ちゃんと分かってる?」
「もちろん、分かっているさ」
「カガリが、なかなか自分の気持ちを素直には言えないことも?」
「分かっている、つもりだ」
「本当に分かってる? カガリの気持ち」
「どういう意味だ? お前、カガリから何か相談されているのか?」
「ううん。でも……僕には分かるんだよね。双子だから、かな」

 キラの肩に乗っていたトリィが、ぱっと翼を広げ、飛び立つ。
 格納庫を気持ち良さそうに滑空するトリィを見守った後、キラはアスランへと視線を戻した。

「カガリ……きっと、不安に思っていると思うよ」
「え?」
「ラクスが言ってた。女の子は我侭で、言葉だけでは足りないし、態度だけでも足りない。言葉と温もりの両方があってはじめて安心できる、ってね」
「ラクスが?」
「うん。アスランのことだから、言葉だってちゃんとは伝えて無いだろ? その上、中途半端な態度しか示してくれない。カガリが不安になるのは無理ないと思うよ?」
「………。」
「アスラン………カガリに「好きだ」って言って、しっかり抱き締めてあげなよ」
「キラ…」

 親友のありがたい助言に、アスランは、ふっと笑む。

 確かに……キラの言う通り、だ。
 言葉にしなければ伝わらない。
 そして、言葉だけでは、この想いは伝え切れない。

(結局、俺は……怖がっているだけなのかもしれない)

 自分の想いを、カガリに拒絶されるのが怖くて……

 一度、枷が外れたら、この身体に燻る激情は抑え切れなくなるだろう。
 そうすれば、自分はきっと彼女を傷付ける。
 そして、彼女は二度と自分に微笑む事はない。

 それが怖くて…彼女を失いたくなくて、曖昧にして誤魔化しているだけ。

(でも……カガリは……)

 自分を嫌ってはいない。
 寧ろ、信頼してくれている。
 一緒の時間を過ごそうとしてくれている。

 カガリが自分の気持ちを受け入れてくれるのなら…
 自分を許してくれるのなら……。

 戻って来たトリィが、ちょこん、とアスランの肩にとまり、彼を急かすように「トリィ」と鳴いた。

「分かった。ちゃんと……話すよ」

 アスランは少し照れながらも、そう約束する。
 その言葉を聞いて、キラはほっとしたように笑む。

(良かった。これで……カガリの哀しそうな顔、見ないで済む)

 ここ最近、キラがオーブに居る時は、必ずと言って良いほどカガリが夜に訪ねて来ていた。
 (キラもアスランもカガリの屋敷で暮らしている)
 そして、他愛もない話をしたり、ゲームをしたりして時間を過ごし、そのまま一つのベッドで眠る。
 (とは言っても、ベッドは大人が3人は余裕で眠れる程の超特大サイズだし、ベツにやましい事はしていない)
 カガリにとってキラは『弟』にしか過ぎないし、キラにとってもカガリは『姉』という意識しかないから、そういう気は起こらなかった。
 (キラの場合、どちらかと言えば……愛玩動物感覚だったりする(笑))

 カガリはキラの部屋への襲来理由を、「今迄離れていた分を……姉弟の時間を取り戻したいだけだっ」と言っている。
 もちろん、それも真実だろう。

 でも……本当の理由は違う。
 そしてキラは、その『本当の理由』が何であるのか、かなり前から気付いていた。

 カガリが時折見せる淋しそうな顔。それを見れば、一目瞭然だった。

 カガリは本当は……アスランの傍に居たいのだ。
 けれど、アスランの気持ちが見えないから、自分の気持ちを封じ、我慢している。そして、夜一人になると、どうしてもその事を考えてしまうから、それが嫌で自分の元を訪れるのだ。

(アスランとカガリが上手くいってくれるのは嬉しいけど……………………カガリと一緒に眠れなくなるのは、ちょっと嫌かも)

 仔猫のようなカガリの寝顔が見られなくなるのは、残念だ。
 と、言うか……やっと手懐けたペット(仔猫)を横取りされるみたいで…………面白くない。

(カガリのためなら、仕方ないけど…………)

 キラは複雑な想いを抱きながら、憎っくき泥棒猫(アスラン)を、じぃぃ〜っっと見据える。

「キラ?」

 意味有り気なキラの視線に、アスランは小首を傾げる。

「アスラン、もうひとつ忠告しといてあげる」
「何だ?」
「カガリを泣かしたら……カガリに痛い思いさせたら、絶対許さない!、からね」
「〜〜〜〜〜〜;;;;;; キラ、お前は俺を焚付けに来たのか? それとも釘を刺しに来たのか? どっちだ?」
「両方、かな」
「あのな………」

 脱力し、頭を抱えた、その時だった…――

『キラ、アスランにEmergency call(緊急通信)です』

 突然響いた館内放送の…ミリアリアの声に、キラとアスランは表情を一変させ、顔を見合わせる。
 そして二人は頷くと、最も近い通信設備…ジャスティスのコックピットに飛び込んだ。

「アスラン・ザラ、だ。キラも一緒に居る」
『ラクス様から極秘緊急通信が入ってます』
「ラクスから?」
「ミリアリア、此処に繋いで」
『了解』

 モニターに映っていたミリアリアの顔が消えブラックアウトする。そして、一呼吸をおいた後、別の女性を…ラクスを映し出した。

「ラクス、どうしたんだい?」
『キラっ』

 キラが声をかけると、ラクスは一瞬ほっとした表情を見せたものの、直ぐに厳しい…泣き出しそうな表情に戻る。

「何かあったの?」
『はい。実は…カガリさんが階段から落ちてしまわれて…』
「カガリがっ!?」
「それで…カガリは今何処に?!」
『カガリさんのお屋敷ですわ』

 ガタっっ

 ラクスの言葉が終らないうちに、アスランはジャスティスから飛び降り、脱兎の如く駆け出した。



-To be continued -





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祐浬 2006/7/13