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― Story by Yuuri ― |
「…………え?」 確かに耳に響いた筈の、彼の甘い囁き。 けれど、その意味が理解出来ず、フランソワーズは、きょとん、とし、目前に立つ彼を……ジョーを見上げる。 そんな無防備すぎる澄んだ碧い瞳に、ジョーは、くす、と悪戯っぽい笑みを返す。 「……聴こえなかった?」 「聴こえた…けど……」 「それじゃ、意味が分からない?」 ますます…楽しそうに目を細め、小さな子供相手のような口調で尋ねるジョーに、フランソワーズはほんのりと頬を染め、拗ねた視線を投げる。 「意味が分かっていないのは、ジョーの方だわ」 「分かってるよ」 「嘘。だって……私、プレゼントは何がイイ?、って訊いたのよ?」 「だから、ちゃんと答えた、だろ?」 余裕の笑みを崩す事無く、ジョーはそう答える。 彼女からの質問を聞き違える筈が無い。 何故なら、今日――クリスマス当日まで、何度も彼女から同じ質問を受けているのだから……。 しかも、その度に明確な答えを返さず、はぐらかし続けて来たのだから、既に『当日(クリスマス・イヴ)』となってしまった今、彼女がその質問をしない訳が無い。 「ちゃんと……?」 「つまり…――」 困惑するばかりのフランソワーズを、ジョーは素早く腕の中に閉じ込め、ふわふわとした亜麻色の髪に指を絡めると、雪のように白い首筋に……可愛らしい洋服と素肌の境目に唇を押し当てる。 「っっっ!?//////」 抵抗する間もなく、しかも唇でも、頬や額でもない場所に……彼しか口付けたことの無いところにイキナリ触れられ、フランソワーズは身体を強張らせる事しか出来なかった。 彼の唇が、ちゅ、と微かな音を立てる。 「っぁ…/// だっ、だめ……そんなトコ…」 手遅れだと知りつつも、フランソワーズは彼を制しようと懇願する。 しかし、艶めいた響きが混じった拒絶の言葉は、ジョーにとっては何の効果も無く……寧ろ、火に油を注ぐだけだった。 早く…… このまま、深く熱く、ひとつに溶け合って…―― そんな浅ましい欲望に侵されていく自分を自覚しつつ、ジョーは彼女に1つ紅い華を刻んだだけで、顔を遠ざける。 そして、ぎゅっときつく閉ざされていたサファイアの瞳に、再び自分の姿が映り込むのを待ってから、一番大切な…掛替えの無い愛しい女性(ひと)の名を、そっと呼ぶ。 「……フランソワーズ」 「ジョー……?」 「僕は……君以外は何も要らないよ」 「///////」 いつもとは違う……痛いほど真剣な瞳で射抜かれて、フランソワーズは更に頬を真っ赤にする。 こんなふうに、彼が自分の気持ちを『言葉』にしてくれることはあまりないから……。 その心の奥底に漂う想いを、ほんの少しの欠片でも聞かせてくれるだけで、フランソワーズは嬉しくて、嬉しくて……胸がいっぱいになってしまう。 彼に……惹かれ堕ちてしまう。 「でも……私も、貴方に何かプレゼントしたいわ」 「未だ、分からない…?」 「え?」 「だから………」 |
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ジョーくんがリクエストしたPresentは…――
イラストと画像(十字架の)にオンマウスすると
こっそりと聞ける…かもしれません♪