... hotarubi


― Story by Yuuri ―








「………フランソワーズ?」

 聞き違う筈が……見間違う筈が無かった。

 フランソワーズは履き慣れない下駄に歩き難そうに…、
それでも一生懸命、小走りで真っ直ぐに向かって来る。
 ジョーは慌てて、フランソワーズの元へ駆け寄った。

「ど、どうして?」
「ジョーったら、研究所に居ないんだもの。捜しちゃったわ」
「え? あ……ごめん」
「ねぇ、どう?」

 戸惑ったままのジョーを、フランソワーズは恥ずかしそうに、
大きな瞳で上目遣いに見つめ、尋ねる。

「どうって?」
「浴衣。……似合ってる?」

 フランソワーズは、くるりと回って、ジョーに浴衣を見せる。

「……っ」

 その優雅で淑やかな彼女の仕草に、ジョーはどきっとし、息を呑む。

 2つに結い上げられた亜麻色の髪。
 沈みかけた夕日に、仄かに染められた細い項。
 何時もより赤く塗られた艶っぽい唇。

 初めて見たフランソワーズの浴衣姿。
 それは想像以上に艶やかで綺麗で、可愛かった。

「やっぱり……似合ってない?」

 ジョーからの返事が一向に返って来ず、
フランソワーズは不安気に顔を曇らせる。

「そ、そんなことないよ。…………凄く似合ってる。
でも……どうして?」






†† もう絶対に放さない…―― ††
cf:『蛍火』










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