†† Bon Anniversaire ... Francoise ††

~ vol.2 ~


 フランソワーズの瞳が瞼の奥に隠れたことを確認したジョーは、ポケットの中に隠し持っていた『あるもの』を静かに取り出した。
 つい先程、この部屋を訪ねる直前、フランソワーズの前でなるべく音を立てないようにとあらかじめラッピングとケースから出しておいた――翡翠色のネックレス。
「――ジョー……?」
 慣れない手つきでネックレスのチェーンを外しているジョーへ、そうとは知らないフランソワーズが、視覚を閉ざして以来何の音も気配もない様子に不安げな声を掛ける。
「あ、ホラ、ダメだよフランソワーズ、動いたら……」
「で、でも……きゃっ、冷た……?」











 何かを言いかけたところで急に首筋にひんやりとした感覚を押し当てられて、思わずフランソワーズは小さな悲鳴を上げた。
「もう少しだから、じっとしてて……」
「あ……っ」
 あまりに耳元に近い距離でジョーに囁かれて、フランソワーズの身体が一瞬ピクッと震える。
 つい唇から零れてしまった声が彼に届いてしまったかと思うと……それだけでも恥ずかしくて仕方がないのに。
 自分の高鳴りゆく胸の鼓動さえも、至近距離の彼にはダイレクトに聴こえてしまいそうで。
 そんなことを気にすれば気にするほど、フランソワーズは逆にますます身体が熱くなってゆくのをもう止めることが出来なかった。
 ――火照る顔。
 そんな右頬のすぐそばに感じられる、ジョーの息づかい。
 首筋をなぞるような彼の指先の動きに、知らず神経が集中してしまう。
(……っ)
 時折身体の奥底を駆け抜ける、甘く痺れるような不思議な感覚に微睡まないよう、きゅっと閉じた瞼へフランソワーズがさらに力を込めたそのとき……。
「……いいよ、フランソワーズ。瞳を開けて……」

 

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