~ P r i e r e ~

†† 『失われし時間の覇者』 de l'image …… ††


― Story by Shion ―
   

 

風にそよぐ亜麻色の髪……
仄かに広がる甘く切ない香りと、優しいぬくもり……

フランソワーズ……

これは……夢?

――違う。


この映像(ヴィジョン)は……遠い遠い過去の幻影。
月明かりに照らされた絶海の孤島で、
まるで終わりのない……永遠に続いてゆくかのような過酷な戦いへの不安を、
彼女が初めて見せた夜――。





それまでのキミはずっと、ボクたちに余計な心配をかけまいと
精一杯気丈に振る舞って――
その華奢な身体に、ただ黙って何もかもを背負い込んで。

時折見せるふとした仕草や表情から……
そんなキミの、負の感情を押し殺した一生懸命な姿に気づいてしまった瞬間。
ボクは思わずキミをこの腕に抱き寄せていた。
抱きしめずにはいられなかった。
そうしないと……キミが儚く消えてしまいそうな気がしたから。





このまま時間(とき)を止めてしまえたら……。
あのときのボクは、キミのぬくもりを感じながら何度もそう願っていたのを……『覚えている』。


離れたくない。
――離したくない。

……だから。







――目映い光。
白い霞の中を、いくつもの光が駆け抜ける。
そして、その光の粒子に導かれるかのようにぼんやりと浮かんでは次々と消えてゆく
『フランソワーズとの想い出たち』。


ここは……いったいどこなんだ?
なぜこんなヴィジョンをボクに見せる?


……失ってしまった彼女を……記憶の中からさえも奪い去ろうというのか?





……それでも。
ボクは決して――忘れたりはしない。
例えすべてが儚い幻想だったとこの心に深く刻まれようと


惑わされず……ボクは戦う。


今もこの腕の中に残るキミの確かなぬくもりを
もう一度取り戻すために――。





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